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誠実な心で駈引きをする(その2)

前回の続き。

「"駆引き"って何だと思う?」って高校生に僕は問いかけて、まったくの自分勝手な考えなのだけど、そうはずれてもいないと思うんだって以下のような説明をした

・"駈引き"は、ゲームで自分が勝つため、少なくとも負けないための工夫である。
 人を欺くこととは一線を画す。決してズルイことでもなく、また努力して習得しないと
 使えない技術でもある。
 -最近では一橋大学にも「ゲーム理論」の先生もいるしね。

・ITベンチャーに来て思ったのは、こちらは弱小零細企業だから、どれほどトンガッタ価値を
 持っていてプロジェクトを牽引していても、様々な交渉のなかで大波小波が打ち寄せてき
 て、足を引っ張られてひきずりこまれる危険と背中合わせになる。それは大手企業では
 意識すらしなくてもよいことなんだけど。そういうなかで、常に自分たちが波にのまれない
 ように、常に真っ先に浮かんでいられるように舵をとる必要がある。
 僕自身は正直、銀行員時代はまったく考えてもいなかったのだけれど、ベンチャーに
 来てこの舵取り(=駈引き)の重要性を身にしみて考えるようになった。
 -もちろん、常に注目され浮かび上がってしまう「価値」もあるだろうけど、油断していると
   大変なことになる。「世界最高のケチャップだ!」と言っても、「マヨネーズとしては
   失格だ!」ってイチャモンがつくことだってあるのだから。
 -それに世の中では、詐欺まがいの話が持ちかけられることもある。そういうわなに
   ひっかからないためにも、「誠実に駈引きをする」感覚は重要なんだよね。

・恋愛をゲームにたとえるのは高校生諸君には不謹慎だとおもわれるかもしれない
 けど、好きな人に思いを伝えることだって"駈引き"をするかどうかは大事だと思う。
 思いをバカ正直に伝えればよいというものでもない。自分の心に正直に正直に
 ストーカーみたいにつきまとって嫌われたって仕方ないだろう?ちょっとだけでも
 自分を、相手を客観的にみること。そして少なくとも負けない(嫌われない)工夫を
 すること。なかなかそう上手くはいかないだろうけど、そうやって努力することは
 確実に自分を高めることにもなると思うよ。

う~む、今となってみれば自分のことをさしおいて恥ずかしい話をしたものだ。
でも母校の生徒を前にすると、妙におせっかいをしてみたい気持ちになるんだよね。

先日、母校の大学で講義を1回だけ持ったとき、ビジネスモデルの作り方などを
めぐっていろんな話をしたのだけど、実はこの「誠実な心で駈引きをする」という話は
時間がなくてあえて削除した。講義のレポートを読みながら、講義で紹介したエピソード
に反応して感想を書いてくれた人が結構いたので、そういえば大学生はどう思うか、
聞いてみたかったなあと思い出した次第。
by haruyamablog | 2004-08-22 06:43
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